地域の人をつなげる・夢をかなえる場所 新横浜「ARUNŌ -Yokohama Shinohara-」

新幹線や多くの鉄道が走るターミナル駅として発展を続ける新横浜駅。オフィスや大型商業施設などのビルが立ち並び、旅客や買い物客などでいつも賑わう駅の北側に比べて、駅の南側には静かな住宅地と緑の丘陵が広がり、雰囲気は全く異なります。

駅の南側のまち・篠原町に、2年前に新しいスポットが登場しました。古くから暮らす人と新しくまちに暮らす人・訪れる人が入り混じり、交流や対話が生まれ、さまざまなコミュニケーションを育んでいます。さらに、まちの未来を考える試みや、夢を実現するための拠点としても機能しています。

今回ご紹介するのは、ARUNŌ -Yokohama Shinohara-(以下ARUNŌ)です。

新横浜駅から徒歩約7分・元郵便局だった建物をリノベーション

ARUNŌは相鉄線・東急新横浜線の新横浜駅「2番出口」から歩いて約9分、JRの新横浜駅「篠原口」から歩いて7分の場所にあります。
2番出口から行く場合は、階段を上がり地上に出たら、コンビニの手前で右に曲がります。まっすぐ進むと、地下道への階段があるので降りて、地下道を上がるとJR線の篠原口に出ます。篠原口からは、新横浜と岸根公園をつなぐ市道(菊名146号線)を歩いていくと、右側に平屋建ての建物が見えてきます。

ARUNŌの建物は、旧横浜篠原郵便局をリノベーションしたものです。2年前の2022年8月10日にオープンしました。

さまざまな夢のチャレンジを後押しする場所

中は意外と広く、目の前にカフェテーブルが並び、右側にキッチンスペースがあります。

今回、ARUNŌについてお話をしてくださったのは、運営を行っている株式会社ウミネコアーキの西野さんです。

ARUNŌは、棚スペース「マドグチ」・チャレンジショップ・シェアキッチン・カフェバー・シェアハウスなど多彩な顔を持つ複合文化施設です。誰でも気軽に新しいチャレンジに取り組める場所として、広く門戸を開いています。

最初に案内してくださったのは、施設の壁一面を埋める小さな箱のような棚スペース「マドグチ」です。自分の商品やサービスを売りたいけど、実店舗を持つまではできない、という方が、小さな箱のようなスペースをレンタルして、自分のお店として利用することができます。よくみると、お菓子や本、占いまで、いろいろな商品やサービスが販売・紹介されています。

商品やサービスの販売の仕方に、コミュニケーションを大切にするARUNŌならではの独自の工夫があります。
お客さまは、購入したいものが決まったら、用意されている赤い封筒にお金を入れ、メッセージカードに金額と店主に伝えたいことを自由に添えて、マドグチの壁の真ん中に設置されているポストに入れる、というものです。

「メッセージカードを添えることで、ショップに常駐しない店主さんとお客さまの間にカードを介したコミュニケーションが生まれます」と西野さんはいいます。お客さまが、マドグチで見つけたものへの想いを、店主さんに言葉で伝えられるというのはとてもすてきです。赤いポストに封筒を入れるというのも、少しドキドキして、うれしくなりますね。

マドグチは一般の方のほか法人でもレンタルできます。「お店を構える前に本当に販売できるのか試してみたい、夢への1歩を踏み出してみたい、自分がやっていることを多くの人に伝えたいと思っている方には、ちょうどよいと思います」とのこと。学生料金も設定されているので、勉強中の将来の夢を、まず小さな形で叶えてみるというのもよいですね。

チャレンジショップは、マドグチを借りている人がARUNŌの中でお店を開く、というものです。実際にお客様と対面でお話しながら、販売するものやサービスについて「私はこれが好きで、こういう想いがあります」ということを直接伝えることができます。

キッチンスペースは、シェアキッチンとして利用できます。これからカフェやレストランを運営したいという人が商品の試作をしたり、飲食店に挑戦したい方が月一の限定のお店を開いたり、ご近所や仲良しどうしで集まって料理をしながらパーティを開いたりイベントをする、などの活用ができるそうです。

またキッチンスペースでは、フローズンカフェバーが営業しています。地元横浜の野菜を使ったおかずたっぷりのヘルシーなお弁当で人気があるそうです。形が不揃いだったり過剰だったりして市場に出せない野菜などを使い、手作りのお弁当を作っています。

「フローズンカフェバーでは急速冷凍機を使って冷凍のお弁当を作られています」と西野さん。作りたての味と品質を保持でき、カフェで提供するほか、テイクアウトや、施設の前にある自動販売機での販売をしているそうです。

実際にお弁当をいただきましたが、本当に冷凍だったの?と思ってしまうほどおいしくて、まさにできたての味。ご飯はもっちり、おかずはやさしい味付けで、お年寄りやお子さんでも食べやすく小さめの一口サイズに揃えられています。

フローズンカフェバーを運営する方は「急速冷凍することでおいしさを長く保つことができ、作った日以外にも提供できたり、夜間など施設の営業時間外に冷凍自動販売機で購入していただくこともできるので、フードロスに貢献できます。おかずを食べやすいサイズや味付けにしているのは、周辺にお住まいの高齢の方の利用が多いからです。スーパーや給食センターなどのお弁当に比べて食べやすく、手作りの温かさを感じられてうれしいというお声をよくいただきます」とおっしゃいます。

施設の外には駐車場があり、屋外出店スペースとして、キッチンカーでの販売などができるそうです。

シェアキッチン・フローズンカフェバー・チャレンジショップ・屋外出店スペースの予定は、お店の前に貼りだされている月間カレンダーや、インスタグラム(SNS)で確認できます。

まちにもっとコミュニケーションの場を!新しい計画も進行中

施設の左側の壁は、ギャラリースペースになっています。「以前は特に何も使っていなかったのですが、ある時お客さまから、ここを絵や写真を展示するスペースにできるんじゃないか、とご提案いただいたんです。そこで、ギャラリーとして使えるようにしました」とのことです。

その一角に、何やら計画図や地図のようなものが掲示してあります。
なんと、ARUNŌと同じようにコミュニケーションを育むための施設を、別の場所に建設中なのだとか。

「場所は、新横浜と菊名をつなぐ道沿いです。もともと商店などが入る長屋だったところの半分を、新しい店舗やシェアキッチンなどにする予定です。もとの建物をリノベーションする部分と新築部分があります。誰もがいつでも気軽に立ち寄れる’地域のダイニングキッチン’をコンセプトに、まるで家の延長のような食の拠点として計画しています」とのこと。どんなスポットが誕生するのか楽しみです。

地域になじんだ古い建物を活かしつつ、新たなチャレンジを促し、コミュニケーションを育む場所。夢を叶えたり、人の温かさを伝えあったりする場所。そんなすてきな場所があるまち、ますます好きになりそうです。

新横浜にいらしたら、是非行ってみてくださいね!

ARUNŌ -Yokohama Shinohara-
住所: 神奈川県横浜市港北区篠原町1410
アクセス:相鉄線・東急新横浜線「新横浜駅」2番出口から徒歩約9分、JR「新横浜駅」篠原口から徒歩約7分
※営業時間などは日によって変わります。詳しくはSNS(Instagram)をご確認ください。

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。